First Stand

人生の棚卸しからの仕切り直し

OBON この時期を毎年冷めた目で見ていたが、今年は帰省することにした

 基本的にここ10年くらい、お盆というシーズンをまるで何もないかのように過ごしていた。東京で暮らしていると、「お盆は帰るの?」というのはもはや合言葉。そんな合言葉にいちいち《ほっとけよ》と内心反応することも最近はないくらい、お盆という存在が自分にとって無意味だった。

 例えば、かつて私以外ほぼオーバー50のおじさまばかりの職場で、「お盆は帰るの?」<いえ、帰りません。>「なんでだ!けしからん!」みたいな会話が何度かあって、ネタみたいになっていた。最初は《うるせー》と思ったけど、だんだん”帰らない人”というポジションを獲得してゆくものだ。そうなると、自分の中でもお盆の存在はそこまで疎ましくなくなる。帰る人が勝手に帰ればええやんけ。

 しかし、今年は帰ることにした。一体前回お盆シーズンに帰省したのはいつ頃か。記憶にないくらい。そもそも、お盆とはなんぞ。我が実家は仏壇もないし、先祖も来ないし関係ない。祖父母の家ならまだしも。小さい頃は、祖父母宅へお盆に遊びに行ってキュウリやナスに爪楊枝を刺してだな、お馬さんとかにして、それにご先祖様が乗って行き来するみたいなことをした。それはお盆ぽい。しかし、そんなこともずっとしていない。実家に帰省したところで、OBONどこ吹く風である。

 つまりそこまで意味がないのに、帰るほどの家でもなかった。少なくとも私にとってはずっと。帰るもんかという気持ちも長年あった。皆が帰るこの時期に帰らないということが、何よりもの自分の意志を表現しているような気がしていた。帰らない。そんな頑なな気持ちがずっとあった。

 しかし、今年は帰る。ここ一年くらいで色々なことがあったから。まず、祖母の入院。そして長年お付き合いしていた人との別れ。自分が拠り所としていたものが、ひとつひとつ失われていくような出来事が続いた。ずっと自分の家は帰る場所ではないと思っていたけど、家は家で色々と状況が変わっていた。簡単に言えば、昔ほど酷い家ではなくなっていた。なんだか一人、頑なに帰省しないことを決め込んでいた私だけが変わっていなかった。あれ?と思った。

 もちろん、昔の恨みつらみは色々とあったんだけど、もはや今の自分には何もない。なるほどこういうとき、自分の家がそこまで悪くない場所ならば、みんな帰るのね。だからお盆にみんな帰省すんのね。そう、今の私の家はそこまで酷い場所ではない。だから帰ることにした。だって、東京にいても、今年はそれこそ一人だ。孤独で死んでしまいそう。だから、帰るのだ。

 2017年のお盆は8月13日から16日だそう。みなさま、それぞれ思い思いのOBONを過ごされますように。